鼎談―東アジアを生きる文学

2月 26, 2016

 2月16日、東京大学校友会・東京大学卒業生室主催および東大出版会共催により、東大の伊藤国際学術センターで鼎談「東アジアを生きる文学」が開かれた。藤井省三東大中国文学研究室主任教授、林敏潔中国南京師範大学東語系主任教授、直木賞作家の中島京子氏が出席し、東アジア文学、特に中日両国作家とその文学作品の関わりをめぐり、興味深い鼎談を行った。
 まず、現代中国文学の著名な研究者である藤井省三教授より、魯迅(1881~1936)の日本留学体験および魯迅が夏目漱石の旧居で暮らしたエピソードが紹介された。藤井教授はさらに、魯迅に影響を与えた、あるいは魯迅の影響を受けた七名の日本作家について解説し、近代から現代まで、森鷗外から村上春樹に至る魯迅と日本文学との奧深い関係を語った。
 林敏潔教授が蕭紅(1911-42)について語った。蕭紅は苦難を満ちた生涯を送ったが、一方で彼女の文才は魯迅から高い評価を得ている。著書「生死の場を旅する人―蕭紅の女性文学研究」を持つ林教授は、蕭紅研究に造詣が深く、「蕭紅」(霍建起監督)と「黄金時代」(許鞍華監督)という両作の蕭紅伝記映画に関して緻密な分析と読解を行い、さらに両作における魯迅イメージと蕭紅における魯迅精神の継承について紹介した。質疑応答の際には、さらに莫言(1955~)文学および最近刊行された講演集『莫言の思想と文学』の日本語版についても語っている。
 作家の中島京子氏が、香港作家の董啓章(1967~)の短篇集『地図集』の日本語訳をめぐるエピソードを語った。彼女は2010年に小説『小さいおうち』で第143回直木賞を受賞、その後も2014年に泉鏡花文学賞を、2015年には日本の四つの文学賞を受賞するなど、現在の日本を代表するベストセラー作家である。中国文学に関心を抱いたきっかけについて、中島氏は自らの中国文学体験、作家になる前の編集者としての経歴、さらには、藤井先生に『地図集』翻訳をお願いしたところ、逆にあなたも共訳するようにと進められたエピソードなどを披露した。
 鼎談後、フロアとの質疑応答が行われ、聴衆各位によるさまざまな質問とそれに対する三氏の回答で、会場は大いに盛り上がった。鼎談と質疑応答を通じ、中日両国の社会文化に関する深い考察がなされ、最新の学術文化情報が発信された。(黄春文)

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