肝がんのモノクロナール誘導治療薬、中国で発売へ、世界初
5月 10, 2005
(中国通信=東京)北京10日発新華社電によると、中国人民解放軍第4軍医大学、成都華神集団股分有限公司(株式会社)が共同開発した肝がん治療新薬——ヨード[131�]美妥昔モノクロナール抗体(注)注射液が、このほど国家食品薬品監督管理局が交付する生産認可番号を取得、まもなく発売されることになった。
専ら原発性肝がんの治療に使われる、世界で初めてのモノクロナール抗体誘導同位体薬品で、中国が自前の知的財産権をもつ抗体医薬品でもある。
肝がんはよく見られる悪性腫瘍。長い間、有効な治療薬がないため、手術による切除が唯一の有効な治療方法だった。しかしその潜伏性のため、発見された時はしばしば手術の時機が失われており、したがって肝がんの手術切除率は15%に満たず、しかも手術後も高い再発率、転移率などの問題がある。手術を行えない患者に臨床でよく使われる治療方法は介入化学療法だが、やはり全体としては理想的でない。現在、中・末期肝がん患者の自然生存期間は3から6カ月にすぎない。
1987年、中国の科学者は科学技術省の支援下に、細胞工学技術を利用して抗肝がん特異モノクロナール抗体——美妥昔を開発するとともに、細胞殺傷作用をもつヨード「131�」同位体と結合させて、特異抗体誘導によって肝がんを治療する放射免疫薬品を完成させた。国家食品薬品監督管理局は「基準を下げず、向上を助ける。手続きを減らさず、認可を速める」の原則に基づいて、この薬品の「高速認可ルート」を開き、2001年に注射液の臨床試験を認可した。
この新薬の主要な開発者、第4軍医大学細胞工学センター主任の陳志南教授の説明によると、美妥昔モノクロナール抗体は肝がん細胞に強い親和力をもち、ヨード[131�」を誘導し高エネルギーβ粒子を発射してがん細胞を殺傷することができる。したがって、美妥昔モノクロナール抗体とヨード[131�]を組み合わせた「生物ミサイル」は、肝がん細胞を有効に殺傷できるだけでなく、健康な細胞への大きなダメージを避けることができる。
陳教授はさらに、次のように語った。2001年6月から03年12月まで、4つの病院で2期の臨床試験を行った。その結果、1周期の臨床有効率は16%、臨床制御率は80%、2周期の臨床有効率は27%、臨床制御率は86%だった。中・末期がん患者の2年生存率は42%、32カ月生存率は31%だった。伝統的な手術治療に比べると、ヨード[131�」美妥昔モノクロナール抗体を注射するには、大腿動脈に米粒大の傷口を開けるだけでよい。介入化学療法に比べると、ヨード[131�」美妥昔モノクロナール抗体によって起こる嘔吐、脱毛などの副作用は小さい。
注美妥昔モノクロナール抗体の原語は「美妥昔(中国語ローマ字表記meituoxi)単抗」。
分子標的薬のリツキシマブrituximab(商品名Rituxan)、セツキシマブ
cetuximab(同Erbitax)が中国語では、それぞれ利妥昔(同lituoxi)単抗、西妥昔(同xituoxi)単抗と翻訳されているので、両者に近いものだと思われる。